001

九月二日、午後九時四分。ミッドチルダ・ステラパスA840便は、定刻通り本局次元港に到着した。 舷側のエアロックにボーディングブリッジが接合され、乗客が一斉に降り始める。シェリンフォード・ベルはそのうちのひとりになって、次元港の二十三番埠頭に足を踏み入れた。 乗船を待つ客たちのコンコー
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002

本局次元港は、トーラス円環型ステーションを幾重にも重ね合わせた超大規模次元空間構造物だ。各次元空間の往来を支える流通拠点、空間災害次元震早期警戒システム、余剰次元における技術的課題を克服するための橋頭堡。文字どおり人類文明の結晶として浮かぶ本局次元港施設は、その実、内奥に所在する
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